NATSUMI OKUMURA
奥村奈津美
3.11 ~365日×3年〜
この一年は、「はなまるマーケット」の取材を通しても、
被災地の皆さんの声を聞かせて頂きました。
はなまるアナ、デビューロケで訪れたのは、
福島県会津若松のアスパラ農家さんでした。
ハウス栽培で、検査を受けて安心な数値だったそうですが、「震災以降、売り上げが10分の一に減ってしまった」と風評被害と闘っていらっしゃいました。
イワシ特集の時にお世話になった、千葉県銚子港の飲食店さん
「観光客が減って、周辺のホテルも閉めてしまった。なかなか震災前のようには戻らないけど、自分たちはお店を続けるよ」と力強く話してくださいました。
火特隊のロケで体験した岩手県猊鼻渓の船下り。
若い女性の船頭さんが担当してくださり、お話を伺うと、「震災以降、お客さんが半分くらいに減ってしまったので、なんとか船下りをPRしたいと、船頭になりました」と。
地元の観光産業が衰退しないよう、今までの仕事を辞め、船頭に転職したそうです。
他にも、この一年で訪れた14都県で様々な災害、苦難を乗り越え、頑張っていらっしゃる皆さんに出会いました。
番組で、そういった声は直接お伝えしませんでしたが、取材させて頂いた皆さんは
「はなまるで、美味しいよ、綺麗だよ、楽しいよ、と伝えてもらうのが復興につながる」とおっしゃってくださいました。
直接的な表現ではなくても、間接的に伝えられることがあると知りました。
なので、この1年間は、そんな出会った皆さんの思いも届くように、リポート、スタジオプレゼンで心を込めていました。
3.11 ~365日×4年へ~
被災地の皆さんは、前に進もうとがんばっていらっしゃいますが、
「目に見えた復興」には辿り着いていないのが現状です。
現在、全国の避難者はおよそ27万4000人(復興庁)
お世話になった宮城県では、およそ9万人が今も仮設住宅で暮らしています。
災害公営住宅は、まだ建設が始まったところで、居住環境の復興という面から考えても、
まだまだ長い時間がかかりそうです。
そんな中、被災地の皆さんが懸念されているのは、風化です。
ボランティアなど支援も少なくなり、
忘れ去られてしまうんじゃないかと思うそうです。
一方で、どんな支援活動をしたらいいか分からない
そんな声をよく聞きます。
私自身、その答えを探しています。
被災地の皆さんが直面する問題が個別化、多様化し、支援が難しくなっていると感じるからです。
ただ、この三年間の取材を通して言えるのは、
皆さん、自分の特技や趣味、人脈を生かして支援活動を行っていらっしゃいました。
特に、同業者だからこそ出来る支援というのは、これからの産業復興で大きな力になるのではないでしょうか。
一歩踏み出すことで、見えてくる世界がたくさんあります。
支援をすること
=被災地を思うこと
=被災地を知ることは、
自分自身の防災にもつながるのです。
災害は他人事ではなく、いつ自分が被災者となるか分からんないんです。
「備えあれば憂なし」
偉そうにと思われたかもしれませんが、1月の講演会でお話しさせて頂いたことから、どうしても伝えたいことを綴りました。1人でも多くの方の心に届けば幸いです。
今年は、アナウンサーになって10年目。
4月からは、報道に戻ることになりました。
私は、このアナウンサー、伝える仕事を通して、被災地と向き合い続けたいと思っております。
これからも、心は共に…
東日本大震災
死者 15884人
行方不明者 2636人
(2014年2月末 警察庁調べ)
東日本大震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
そして、被災地の一日も早く復興、復幸をお祈り申し上げます