NATSUMI OKUMURA

奥村奈津美

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災害ボランティアのススメ

By Published On: 2023年5月19日Categories: 防災コラム, Column1 min read

「災害が起きた時、ボランティアって、どうやって参加するんですか?」

というご質問を頂いたので

災害ボランティアについてまとめてみました


目次


災害ボランティアとは

災害ボランティアとは
被災地の復旧を応援するボランティア活動です。

内閣府のHPでは

「大規模な自然災害が発生した際、見返りを求めず、自発的に行う被災地への支援活動が、災害ボランティア活動です。
被災した地域や住民が、1日でも早く元の生活に戻ることができるようお手伝いをすることを目的とし、
力仕事から事務作業、心のケアまで様々な災害ボランティア活動があります」

と記載されています。

被災された方のニーズは様々ありますが、大きくは「人手」「物資」「情報」「お金」に分けられ
それぞれの不足分をどうカバーするかというのが問われます。

例えば、

  • 物資の搬入・搬出
  • 清掃活動
  • 炊き出し
  • 心のケア

など。

お金や気持ちを送るなど、現地に行かなくてもできる支援もありますが、

今回は、被災地に直接入って行う災害ボランティアについて
心がまえや準備すること

また、これまで活動を行っている団体への取材をもとに
知っておきたいことをお伝えします。

1. 心構え

ボランティアは、受け入れてくださる被災された方がいて、はじめて成立します。
その方への感謝の気持ちを持つことが、まず大切と考えています。

また、被災された方から発災時の話をお伺いすることもありますが
どのような状況か、お伺いする機会なく、作業に取り掛かることもあります。

ご家族に不幸がある場合もあります。

想像することしかできませんが、
不用意な発言は控え、寄り添う気持ちで接するようにしています。

また、被災当時の話や今の状況などを話してくださる場合は、
傾聴、とにかく真摯に耳を傾けることを大事にしています。

2. 準備【自前が基本】

作業に必要な装備や服装
現地までの移動手段、
滞在中の食糧や水、宿泊環境などは
自分で用意することが大前提です。

物資が不足している時は
被災地にあるものを購入するという行為は
被災された方々が必要なものを奪ってしまうことになります。

ある程度復旧してから入る場合は、
被災地を応援する気持ちで「買い物をする」という行為もプラスになりますが
それは、その時の現場の状況、復旧フェーズなどを踏まえての判断となります。

なので、全て自分で用意して持っていくようにしています。

 

・ヘルメット・ヘッドライト・ゴーグル・防塵マスク

・手袋・長靴・長袖長ズボン

被災地での体調管理や怪我防止など
細心の注意を払うことが必要です。

例えば、体調管理

水害は暑い夏に発生することも多いので
土砂の掻き出しなどを行うとき、
30度を超えるような暑さとなることもあります。

私も夏場の支援活動を経験していますが、
15分くらい作業すると限界・・・

現場のリーダーがタイムマネジメントしてくださり、
積極的に休憩をするようにしていましたが、
一緒に行った友人が熱中症になりかけたこともありました。

とにかく無理しないということが大切です。

長袖長ズボン、防塵マスクをしての作業で
より暑く感じます。

例えば、ボランティアで入って体調を崩してしまう、怪我をしてしまうと
被災地域の医療機関にお世話になることになります。

状況によっては、医療が逼迫しているのに
そこにお世話になるということは、余計医療機関に負担をかけることになります。

とは言っても何が起きるか分かりません。

ボランティア保険というものがあり
活動中のケガや、他人に損害を与えたことにより損害賠償問題が生じた場合に、かかる費用を補償するものです。

地元の社会福祉協議会などで加入して被災地に向かうとスムーズですし、現地に移動する間も補償されます。

全国社会福祉協議会HP

https://www.shakyo.or.jp/

4. 二次災害にも注意

例えば大地震ですと余震の恐れがあります。

被災した地域にいる時に
余震に遭うリスクもあることを十分理解し、
事前にその地域のハザードマップを見て、
リスクを把握しておきます。

津波・土砂災害などのリスクがある場所を知り
どこへ避難したら良いかなど
身の安全を守るための情報を収集してから現地に向かいます。

水害の場合は、雨が降る中での作業は大変危険です。

土砂災害の現場などは、少しの雨でもまた崩れることがあります。

最新の気象情報を見て、無理のない判断をしましょう。

また、現地に入ってからも、立ち入り制限エリアの確認、
最新の気象情報(警報など)はころころ変わることがあるので
アプリなどを活用して気にしておきましょう。

 

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どうしたら参加できるの?

一般的なのは、自治体の社会福祉協議会(社協)が開設する
災害ボランティアセンターを通して活動することです。

被災自治体の社会福祉協議会のHPやSNSなどで募集内容が発信されますので
確認してから向かいましょう

コロナや受け入れキャパシティによっては
全国からではなく近隣地域のみ、
長期間参加できる人を募集など
受け入れ対象が変わります。

必ず自分が該当しているか確認してください。

申し込み方法や当日の流れも
ボランティアセンターによって異なることがあります。

そのほかにも
平時から災害時のボランティア活動をしている団体と繋がっておくという方法があります。

NPOや企業、大学など様々な組織が主体して活動しています。

例えば

#pasobo の監修など大変お世話になっている
宮崎 猛志さんが危機対応研究所 所長を務めている
日本最大級のNPO法人国際ボランティア学生協会IVUSA

https://www.ivusa.com

国内外の被災地支援を行っている一般社団法人 ピースボート災害支援センター(PBV)

https://pbv.or.jp

などなど

様々な団体があります。

また、プロボノといって職業上持っている専門スキルを活かした支援活動や
技術系のNPOによる支援活動もあります。

「重機が使える」「高所作業の技術がある」「看護師免許がある」など
高度な知識やスキルを持っている場合は、予め専門のNPO/NGOに登録しておくと
被災地でも力を発揮することができます。

 

 

私が所属させて頂いている福祉防災コミュニティ協会でも被災地支援を行っています。

https://fukushi-bousai.jp

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当日の流れ(※私が参加してきた被災家屋の清掃の場合)

災害ボランティアセンターなど
決められた場所に集合します

受付

(グループ分けされて、チームリーダーを決めます。
どこの家に行って、どんな作業をするのかなどの説明を受け、必要な道具を準備します)

現場へ移動

(遠い場合、ボランティアセンターが運営する送迎バスで移動したり、
グループ内の方の車で相乗りしたりすることも)

依頼主の方にご挨拶し、細かく作業内容を聞き、現場の安全確認。

チームリーダーを中心に、どのように作業分担するのかなど話し合います

作業

作業終了。

依頼主に報告し、ボランティアセンターに戻り、どの程度作業が捗ったのか、また新たなニーズなどをフィードバック

解散

注意してほしいこと:勝手に判断しない

被災された方にとっては全てが大切なものです

例え、壊れていても、泥にまみれていても、
勝手に捨てたりせず、持ち主に確認することが大切です。

また、どこからどこまでを泥かきするなどの
作業範囲なども丁寧に確認しましょう。

罹災証明書の取得や保険の手続きのために
写真が必要になるので、
片付ける前に、写真を撮影したかも確認できると親切です。

 

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水害からの復旧

これだけは知っておいて!

できるだけ早く乾かすことが大事

家を守るためにも、早く泥などを掻き出し
家を乾燥させる必要があります。
放置しておくと、ガビが発生し、住めなくなっていきます。

消石灰での消毒は必要ない

以前は水害=消毒=消石灰でしたが
今は消石灰はNGとなっています。

ただ、行政含めてまだまだ浸透していないという現状もあります。

また、消毒も、場所、具合によってケースバイケースなので、
一般化した表現が難しい(複雑?)ということもあり、
去年訪れたボランティアセンターでも消石灰が大量に積まれていました。

土壌が持つ浄化作用もありますので
必ずしも消石灰をまくことが必要性があるかは分かりません。

汗をかいた状態で皮膚に付着するとかぶれの症状が出る人がいるなど
危険性についても指摘がされています。

また、床下の泥をかき出すときに床板を外したり
壁紙を剥がし、中の断熱材を撤去したりすることもありますが、

復旧の費用をなるべく抑えるために
床板にナンバリングして元に戻せるようにしたり、
必要最低限の範囲で壁紙を剥がすなど
知識が必要になります。

技術系のNPOや、地元の工務店のアドバイスなどを頼って作業しましょう。

また、瓦礫の分別も、その後の廃棄物処理費用を抑えることにつながります。

現場の方の指示に従い、
掃除だけではなく、復旧まで考えた作業が求められます。

水害からの復旧については
震災がつなぐ全国ネットワーク「水害にあったとき」をぜひ参照してください

 

https://blog.canpan.info/shintsuna/img/E6B0B4E5AEB3E381ABE38182E381A3E3819FE381A8E3818DE381AB_E38381E383A9E382B7E789882021.7.pdf

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復旧は長期戦・息の長いボランティア活動が求められている

この記事を読んでくださっているのは
災害発生直後ではないでしょうか?

災害ボランティアは、発生直後の方が関心が高く、人が集まりやすい傾向にあります。

しかし、被災された方から要望が出るのは、時間が経ってから。いつもタイムラグがあります。

そもそも、家の片付けなどを、ボランティアに頼めるということをご存知ない方もいらっしゃいます。
また、知っていても、「うちは大丈夫」と、最初は自分たちの力でなんとかしようと頑張る方もいらっしゃいます。

復旧作業というのは本当に時間がかかり、
被災された方々は、避難所などでの過酷な生活を送りながら
仕事の合間に家の片付けをするなど
ハードな毎日が続き、時間と共に疲労が蓄積していきます。

そういった中で、社会福祉協議会や支援団体が、一軒一軒ヒアリングして
ニーズ調査をしていきます。

なので、直後だけでなく、むしろ1ヶ月後など時間が経ってからも
災害ボランティアが力になれることがあります。

東日本大震災では、避難所から仮設住宅とフェーズが移り変わる中、
長期にわたって災害ボランティアによる支援が行われました。

関心を持っている人たちがいる
他県の方が現地に入って支援している
ということも、被災された方々にとっては大変励みになります。

私自身、東日本大震災の時、仙台にいたのですが
全国からの支援に、胸が熱くなり、気持ちが震え立ったのを
今でも鮮明に覚えています。

被災された方々からも

「ボランティアさんが家を綺麗にしてくれて
もう一度頑張ろうと思えました」

など、精神的な支援にもつながっていることを実感できる言葉を
たくさん頂きました。

 

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ボランティアを通して得られたもの

微力でも何か被災地の力になれればと参加するのですが
いつも逆に力をいただくという不思議な経験をしています。

被災された方々は大変な状況にも関わらず
ボランティアの御礼にとスイカやアイスを振る舞ってくれたり
被災した時の話を聞かせてくれたり
こちらがいつももらってばかりだなあとも感じます。

東日本大震災の被災地支援では
もう12年以上経つのですが
当時、支援活動でお伺いした方々と交流させて頂いていて
自分の人生にとってかけがえのない出会いとなりました。

実際に被災地に足を運ぶことは
災害とはどういうものなのか?を知ることにつながり
自分の備えにもプラスになります。

現地を見て、被災された方と直接交流する。

災害ボランティアに参加する人が
一人でも多くなったらいいなあという思いを込めて
綴ってみました。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

 

 

取材協力:NPO法人国際ボランティア学生協会IVUSA
     危機対応研究所 所長 宮崎 猛志さん

参考文献:合同出版「災害ボランティア入門」ピースボート災害支援センター

      木楽舎「災害支援手帳」荻上チキさん

 

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