NATSUMI OKUMURA

奥村奈津美

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100名以上が参加!赤ちゃんの命を守るアレルギー講座

By Published On: 2021年2月28日Categories: 防災コラム, Column0.4 min read

多くの皆さまにご参加頂いたアレルギー講座
多田先生のご好意で2回にわたってお送りしましたが、
その前編をYoutubeにアップしました。

そして、講座後アンケートで参加者の皆まさから頂いた質問について
多田先生からメッセージを頂きました。

この場をお借りして、共有させてください。

Q。アレルギー反応は個人々とのこと~息子は35年以上アレルギーと付き合っていますがいまだに皮膚炎がひどいです!お医者には相談しているのですが、完治しないとあきらめています。私より知識はありますので相談もできません。

多田先生よりA。

長い間、ご子息のアレルギーに対応されてこられて、本当にお疲れ様です。アレルギーを持つ方のご家族は、家事や心配などの負担がとても増えますよね。相談されている場所は、個人のクリニックでしょうか?最近、アトピー性皮膚炎に対しての画期的な新薬がいろいろ出てきて、患者さんや家族のQOL(生活の質)向上に役立っています。ただ、アレルギーの専門病院でないと、処方が難しいかもしれません。医療費も高額になりますが、高額医療の支援制度を用いることも可能のようです。詳しくはhttps://dot.asahi.com/dot/2020123100018.html?page=1、もしくは、もっとわかりやすく書かれた「大塚篤司 アトピーの治し方 2020年 ダイヤモンド社 p227−233」を参照下さい。

Q。孫にアレルギーがありますが、治りません

多田先生よりA。

お孫様のアレルギー症状を目の当たりにするのはお辛いですね。アレルギー学会では、アレルギーの完治をアレルギー治療の大きな目標とはしていないです。まずは、目の前の症状を抑える。そして、再燃しないように、アレルギーの種類や重症度に沿った維持療法を続ける。子どもの場合は、症状発現の場である皮膚や粘膜が新陳代謝と共に丈夫になっていくので、健康な(炎症のない)状態を維持していれば、治癒も期待できますが、それには長い時間がかかります。今は症状を抑える治療は、よほど重症でない限り、ある程度確立しています。今の治療で症状が抑えられていないのなら、かかりつけ医とよくご相談されることをお勧めします。

Q。息子や孫が相談しているお医者は専門医かどうか確かめたいと考えています。アレルギー科とアレルギー専門医は違うのでしょうか?対応に違いがありますか?

多田先生よりA。

アレルギー科はアレルギー専門医でなくても標榜可能です。アレルギー専門医は、基幹分野(内科、小児科など)の専門医を取得後、定められた経験を積み試験などを経て日本アレルギー学会に認定され、5年ごとに定められた数の研修と実践を報告すると、更新できます。専門医であればクリニックなどのウェブサイトの医師紹介や医師の経歴欄に記載されているかと存じます。

患者さんへの対応の差は、個人の姿勢によるものも大きいでしょう。専門医でなくても、熱心に勉強されている方は沢山いらっしゃいますし、専門医を維持されていても、学会のガイドラインに沿わない対応をされている方も、残念ながらいらっしゃいます。

Q。生後3日間ミルク抗原を避けるとアレルギーを予防できると聞きましたが、生後すぐは母乳が十分に出ないことが多いと思いますが、人工乳以外で補足するなら何が良いのでしょうか?

多田先生よりA。

生後すぐの母乳の分泌量が、赤ちゃんの必要量に間に合わないことを心配されているのですね。日本の産科施設では、産後すぐから一律に人工乳を足すということが広く行われてきてしまっていたので、そのように考えていらっしゃる方が多いと思います。

お母さんに適切な支援があると、補足が必要になる状況を少なくできます。適切な支援は講座でもご紹介した「10のステップ」にまとめられています。(https://jalc-net.jp/dl/10steps_poster_A4.pdf)  WHO(世界保健機関)が、それに合わせ、支援者向けの基本的なテキストを2020年に改訂しました。(https://www.who.int/publications/i/item/9789240008915)

赤ちゃんの胃の大きさは、初日はさくらんぼ大(5-7ml)、2日目くるみ大(22-27ml)と、とても小さいです。(上記 Session12 の4枚目のスライド)なので、頻繁に(1-2時間おきに)授乳する必要がありますが、1回に沢山飲ませなくても大丈夫です。

お母さんの睡眠時間が心配かと思いますが、出産後も赤ちゃんとお母さんが離されずにいたら、赤ちゃんとお母さんの眠りのリズムが合ったままなので、それほどは辛くありません。(成人の睡眠の1サイクルは1時間半前後とされています。)赤ちゃんとお母さんが引き離される、お母さんに昼間の予定が詰まって休めないなどで、お母さんが赤ちゃんのサイクルに合わせることができなくなることのないようお母さんを支援しましょう。深い睡眠の時に起こされるのは、とても辛いです。

お母さんが産前から適切な授乳方法を伝えられ、出産直後から丁寧な支援を受ければ、多くの赤ちゃんで補足が不要となります。支援者向けの医学的な補足の適応はこちら。https://jalc-net.jp/dl/ABM_3_2010.pdf

お母さん向けの母乳育児に関する情報はこちら。https://llljapan.org/faq_category.php

Q。今、旬の野菜がなくなったり、品種改良により、野菜の栄養価が落ちているために、母親から分泌される母乳も栄養が少ない、という話を聞いた事があります。自分の子供は母乳で育てたい気持ちもありますが、人工乳も与えて栄養を摂取した方がよろしいのでしょうか?

多田先生よりA。

ご自分の食生活や母乳中の栄養に不安を感じていらっしゃるのですね。そして、人工乳の方が、栄養面で母乳に勝ると思われているのですね。

お母さんが極度の栄養不良になっていない限り、母乳には赤ちゃんに必要な栄養素が入っています。その栄養素の中には、今でも人工乳が母乳に及ばないものがあります。(ですから、乳業会社は50年以上前から「母乳に近づけた」という宣伝はし続けていますが、「母乳を超えた」という宣伝はしていないですね。昔を振り返ると、今と比べ、入っていなかった栄養素が沢山あります。これからも、新しい知見が出る度にそのような栄養素は増えていくことでしょう。)

また、極度の栄養不良の場合、月経が止まってしまいますので、妊娠することができません。ですので、妊娠された時点よりも、極度に体重が減っていなければ、安心していただいて大丈夫です。(重症悪阻や肥満などには医学的対応が必要です。)一般のお母さんへの情報はこちら。https://llljapan.org/faq.php?num=73 

そして、講座で幾度となくお話ししたように、母乳に含まれる生きている細胞、免疫物質、生理活性因子などは、人工乳には入っていません。これらは、それぞれのお母さんの体がご自分の赤ちゃんの状況に最も合うように作った、かけがえのないものです。母乳は1滴でも素晴らしい価値があります。

ご自身の健康のために、ご自分の食生活がバランスの取れたものかを判断するには、母子手帳に掲載されている「妊産婦のための食事バランスガイド」http://sukoyaka21.jp/syokuiku を参考にされてはいかがでしょう。

参加者の皆さまの感想 多田先生のお話で印象に残った話を教えてください。

・離乳食で早めに色々な物を口に入れておいたほうがよいとのお話。

・アレルギーと遺伝の関係特になし

・母乳の栄養素は変わらないこと

・食物アレルギーも皮膚から入るということ

・離乳食はアレルギー反応を見るために向こう3日少しずつ与えて様子を見るものなので,反応が出なければそれ以降は1匙ずつ増やす…等はしなくても大丈夫(1子が離乳食開始時に知っておきたかったです…!)

・二重暴露説

・アレルギー疾患の原因物質の発見が最近だったことです。

・アレルギーの歴史と最新情報と詳細に教えていただきありがとうございました。食物アレルギーと皮膚の関係のところが印象的でした。

・口から入れば反応しない、皮膚から入ればアレルギーを発症。目からうろこでした。

・アレルギーへの対応や処置方法が年々変わってきていること

・母乳を2歳まであげるといい

・医学的根拠は約5年で変わる

・もともと寄生虫に作用していたlgeが現代人の身体に多くあるために何か別な物質に反応している可能性があるときいてなるほどと思いました。またエビデンス5年で変更されると聞いて自分でも正しい情報を取り込むアンテナをもちたいです!

・アレルギーを予防するために大切なことは、栄養、睡眠、運動、ストレス対処を適度に行うこと

・アレルギー専門医の選び方。

・2010年から食物アレルギーは医師の指示のもと食べて予防治療へ!

・離乳食を3日続ける意味が分かりました。

・塗り薬はかぶれているところを覆うように使わないと意味がないということ

・抗ヒスタミン薬の使うタイミングや使用量じにはなるほどと思いました。 また、エビデンスの有効期限もなるほどでした。過信しないで自分でも常に新しい情報を得ていかないといけないのだと思いました。

・寄生虫がいなくなって、IgEが身体にたまって、それがアレルギーを起こすことの原因。皮膚から入る抗原が敵と見なすので、皮膚の保湿や傷つけないことが大事

・今回の赤ちゃんのアレルギーに関しては,保湿のお話等,理由等がしっかり分からない状態でしていたので,理由が分かり,保湿の大切さが更に実感出来ました!また,多田先生のお話は所々ブラックジョークが効いていて楽しく拝聴させて頂きました(お医者さん選びの話等もとても参考になりました!)次回も是非参加させて下さい

One Comment

  1. 米澤利昭 2021年3月4日 at 6:32 AM

    ありがとうございました!さっそく息子に連絡しました。

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