NATSUMI OKUMURA
奥村奈津美
西日本豪雨から3年
2018年7月6日
当時NHK「ニュースウオッチ9」を担当していました。
第二の故郷、広島が、また豪雨に襲われている、という情報を伝えながら
胸騒ぎがしていました。
2011年の東日本大震災、2014年の広島土砂災害の災害復旧ボランティアで知り合った広島の知人たちから
「小屋浦、天応が流された」
という情報が入り、取材を開始。
道路が寸断されるなか
牡蠣の養殖業者さん達にも連絡を取りながら
海から入れないかなど
現場入りの可能性を探ったことが、昨日のことのように思い出されます。
あれから3年。
坂町小屋浦で被災された方にお話を伺いながら、現地の復旧状況などを取材してきました。
(取材の様子は、防災住宅研究所のYoutubeチャンネルにて公開予定です。)
この3年間、私のオンライン防災訓練でお話をして頂いたり、
拙著の出版にあたって、お写真の提供なども頂いた、木村雄一さん。
3年前のあの日
夕方、裏山の沢から水が溢れ、みるみるうちに道が川のように。
ダンプカーが通ったような音が聞こえたあと、
「ドーン」と聞いたことのないような音が聞こえ
裏山から土石流が流れてきたそうです。
裏山近くにあった木村さんの事務所は全壊。
街の中心部を流れる天地川の砂防ダムも決壊
街全体に水が流れ込み、
木村さんのご自宅も一階部分が完全に水没しました。
救助が来るまでの
48時間、垂直避難され
命をつなぎました。
その後、泥との戦い、
家が修繕されるまで1年近くかかりました。
その復旧までの日々をFacebookで情報発信してくださり、
今は、地域の防災力を高める活動もされています。
「被災するまで自分事にできなかった。
今はまだ砂防ダムなども完成していない、
そして、例え完成しても、想定外のことが起きることもある。
3年前の豪雨では崩れなかったが、いつ崩れてもおかしくない谷はたくさんある
備えることが命を守ることにつながる」
と、被災地域で暮らすことの覚悟を話してくれました。
あの日、この地域に(当時の防災情報で)
警戒レベル3「避難準備高齢者等避難開始」が出たのは15:00
そして、レベル4「避難勧告」17:40
「レベル4ではもう逃げられる状況ではなかった
レベル3の段階で避難していたら助かった命もあったのでは
危険なエリアに住んでいる人は、レベル3で避難してほしい」
と、早めの避難を呼びかけます。
※警戒レベルが導入されたのは2019年なので、当時はレベル3、4という情報は出ていませんでした。
今回の熱海の災害でも、レベル3は出ていました。
土砂災害の前兆現象などについて伝える方もいますが、
これまで取材してきた実感としては
前兆現象を見てから逃げるでは、手遅れになることも。
実際、木村さんも前兆現象の段階では垂直避難するしか時間的に難しかったと語っていました。
まだまだ、雨の季節は続きます
そして、これから台風の季節もやってきます。
どうか、早めの避難を。
浸水が始まる前に
暗くなる前に
そして
「雨が止んでも油断するな」
空振り避難は避難訓練と思って・・・
危険なエリアの方は、命を守る行動をとってください。
※木村さんが撮影された発災直後の動画をInstagramに公開しています。