震度6強を観測した石川県珠洲市の被害状況

防災住宅研究所として地震から3日経った石川県珠洲市に調査に入りました。

宝立町鵜飼

まず最初に訪れた
宝立町鵜飼という地区

Twitterなどに地震の揺れで崩れる映像がアップされていた
景勝地、見附島の近くです。

１階部分が崩れ、車の上に家が乗っている状態。
中を見ると鉄骨があったので、１階部分はピロティだったのでしょうか。

このエリアは応急危険度判定が行われたようで
赤・黄色・緑の紙が貼られていました。

「赤」は、危険
「黄色」は注意
「緑」は調査済み

ということなのですが

住民の方々は
「何も言わずに紙だけ貼って行ったんです。
　修復したら住めるのか、取り壊さなくちゃいけないのか分からなくて」

と、困惑していました。

この紙の目的は、二次災害に遭わないように注意喚起するもの。
実際の被害認定の家屋調査とは異なります。

赤紙が貼られていた家に住んでいる男性がたまたまいらっしゃり
当時の様子をお伺いできました。

揺れが始まって、これは長いなと感じ
慌てて家の外に避難。

しばらく経って戻ってシャッターを開けて車を出したが、
その後、シャッターが閉まらなくなり
夜の５強の地震で家が傾いてしまった。

ということでした。

現在は避難所に身を寄せているが
夜は寝られないということでした。

一番困っていることを伺うと

「家をいつ取り壊してもらえるのか分からないことが不安。
　このままだと隣の家にも道路にも影響しちゃうので
　早く壊してほしい」

と、おっしゃっていました。

そのほかにも、赤い紙（危険）が貼られた家に住んでいる方にお話聞けたのですが、
高齢の男性は

「避難所には行かない。独り身だし、耳も遠いし、難しい」

と話していたり

別の女性の方も

「一晩は避難所へ行ったが座布団三枚と毛布１枚で寒くて
　とても寝られなかったから家族みんな２階に寝ている」

と話していて

余震が続く中、危険な家で寝ている方が多くいるのではと懸念されます。

正院町

正院町というエリア
納屋が倒壊し道路へ。
取り急ぎ知り合いから重機を借りて、散乱した瓦礫を撤去したそう

土砂崩れがあった場所
国交省の車両が監視していました。

外からは分からないですが、
家自体に影響がなくても
家の中は家具が倒れめちゃくちゃな状態。
瓦も落ちて、雨漏りをしている家もありました。

ブルーシートで応急処置をしている家屋

今後、罹災証明書を取得して支援を受けるためにも
被災状況の写真が必要となるため

「写真は撮っていますか？」

と確認して回ったのですが
ご高齢の方を中心に、ほとんど撮影できてない状況ということも伝わってきました。

---

日置という地域で
自主防など防災活動されている方のお話では、

「屋根が被害を受けて雨漏りが大変な家が多い
　家具なども倒れて大変だが
　まずは、屋根。
　ブルーシートで応急処置をしているが
　いつ本格的に直してもらえるかが心配。
　早く屋根屋や大工が入って
　家を安心して住めるようにしてほしい」

とのことでした。

ボランティアセンターも開設されるようですが、
ニーズ調査、そして本格的な支援はこれから

「呆然としてて、どこから手をつけていいかわからないし
　ボランティアの人に助けを出せる状況でもない」

と話していらっしゃいました。

高所作業のプロボノ団体
レスキューアシストも　　
雨が上がったので
今日から本格的に屋根のブルーシート貼りにあたっています。

私が所属させて頂いている福祉防災コミュニティ協会も
現地に入って活動しています。

湯井上級コーチは

「外から支援が入ることが「誰かが見てくれている」と励みになる
まずは傾聴し、独居で在宅避難が厳しい方がいらっしゃらないかなど
見えていない被害を探し
福祉サービスなどに繋げることが大事
また、今後の罹災証明書の記入サポートなど
再建に向けたサポートも必要」

と話していました。

TBSラジオにて
本日の取材の様子をリポートさせていただきました。
（タイムフリーで聴けます）

↓視聴リンクはこちら

» 荻上チキ・Session TBSラジオ 2023/5/8(月) 15:30-17:50

今できること

まだボランティアを受け入れる前の準備段階ですが、
近隣の地域にお住まいの方は受け入れているようです。
詳細は社会福祉協議会のHPでご覧ください。
→http://suzushi-syakyo.or.jp

現地に支援に入っている団体を応援することで
支援に繋げるという方法もあります。

高所作業のプロボノ・レスキューアシスト
→https://rescue-assist.net

福祉防災コミュニティ協会
→https://fukushi-bousai.jp/

ふるさと納税などを活用して自治体を応援する方法もあります。

まだ余震の恐れもありますし
どうか安全な場所でゆっくり過ごせるよう切に願います。