NATSUMI OKUMURA

奥村奈津美

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【奥村奈津美のミライ防災+】地球温暖化でスーパー台風 が日本上陸!?災害で後悔しない家「防災住宅」とは?

By Published On: 2021年10月26日Categories: 防災コラム0.5 min read

変わる台風

10月も後半。

急に秋らしい気候になりましたが、台風シーズンは続いています。

昨日(10/25)、台風20号が発生しました。

台風の発生は「備えを見直すチャンス」。

幸いに進路が外れたとしても、積極的に備えることで、その他の災害への備えにつながります。

台風といえば、最近、台風が変わってきているのでは…と感じている方も多いのではないでしょうか?

去年の台風10号は、最大瞬間風速80m/sという予報も出て、気象庁が異例の呼びかけをするほどでした。

最悪の事態は免れましたが、もし九州に上陸していたら…また東北地方に上陸したりと、これまでとは台風の進路も変わってきています。

地球温暖化とスーパー台風

このまま地球温暖化が進むと、夏の猛暑は激暑になり、豪雨や台風による被害も激甚化すると予測されています。

環境省が行った「令和元年東日本台風」の疑似温暖化実験によると、温暖化に伴って風速も降水量も増し、洪水被害も拡大するという結果が出ています。

実際の令和元年東日本台風では、長野県・千曲川など大河川が決壊し、甚大な被害が出て、首都圏でも荒川や多摩川が大規模氾濫寸前となりました。

この台風も地球温暖化の影響はすでに出始めていることが指摘されましたが、このまま温暖化が進むと、さらに被害が拡大するというのです。

これから私たちはどんな台風災害と対峙していかなくてはいけないのか考えると、恐ろしくなります。

地球温暖化を緩和し、適応していくことが急務なのです。

地球温暖化時代の家づくり

温暖化時代を見据えると、住む家も、これまでと同じでは太刀打ちできなくなるのではと恐れています。

私が理事を務める防災住宅研究所では、26年間災害現場を訪れ、どのような家が被害を受け、どのような家が被害を免れているか、調査しています。

その中であらゆる災害に強い建築工法があることを発見しました。

WPC工法との出会いと調査結果

それは、阪神淡路大震災後に行われた建設省の調査結果にあったWPC(Wall:壁式、Precast:あらかじめ作る、C:コンクリート)工法という鉄筋コンクリートパネル住宅です。

調査によると、阪神淡路大震災の被災地に建っていたWPC工法の住宅495棟全てが、一部損壊もなく、無傷であったというのです。

その後の巨大災害で住宅の被害調査を続けたところ、WPC工法の住宅は、新潟中越、中越沖地震、能登半島地震、東日本大震災、熊本地震でも、巨大地震の揺れでも一部損壊もなく、また重量があることで津波にも流されないことが確認されました。

さらに、WPC工法はコンクリート造ゆえ耐火性能にも優れ、風水害では、2014年の広島土砂災害で2mもの土砂に襲われながらもその土砂を受け止めていました。

調査に当たった防災住宅研究所の児玉所長は「これまでの巨大災害では最も被害が少ない建築工法と確信した」ということです。

阪神淡路大震災 神戸市東灘区 中田邸

仙台市若林区 流されずリフォームした佐藤邸

平成5年8月豪雨

広島市土砂災害

焼津市火災

東関東巨大竜巻

資料・写真提供:防災住宅研究所

「防災住宅」とは?

そこで、防災住宅研究所では、このWPC住宅の国内シェア1位のハウスメーカー、百年住宅とともに「防災住宅」を共同開発しました。

この防災住宅では、WPC工法という災害に強い躯体構造に加え、地域の災害リスクに応じて対策を施し、災害の直接死を防ぎ、さらに、その後の被災生活を自宅で過ごせるよう、在宅避難を可能にする設備が整っています。

25万円で設置できる津波シェルター

例えば、津波の恐れのある地域では、津波シェルターを屋上に設置することが可能です。

これは、津波でも流されなかったWPC工法の特徴を生かし、屋上への出入り口の部分を密閉構造にし、例え津波に飲まれても、その中で家族が8時間過ごせるような空気だまりができるようになっています。

夏は涼しく冬暖かい水害対策

また、この「防災住宅」は、「地熱利用強化基礎」という床下のない作りになっています。
一般的な住宅は床下があり外気が入ってきますが、そこを埋めることで、床に外気が触れることなくがなります。

そのため、暑さ、寒さ対策・省エネにも繋がります。

また例え浸水被害を受けても、床下がないので土砂の撤去などの復旧が早く安く済みます。

西日本豪雨の被災地にあったWPC住宅でもその効果が証明されています。

その他、土砂災害対策で間取りを工夫したり、浸水対策で電気配線を高い位置に設置したりと、ハザードマップなどの想定リスクを踏まえて様々な対策を講じます。

また、ライフラインが寸断されても生活できるよう、太陽光パネル・蓄電池・貯水タンクなどの設備も標準装備されています。

設備の詳細については、動画でリポートしましたので、ぜひご覧ください。

「防災住宅」が防災グッズ大賞を受賞

今月、防災住宅研究所と百年住宅グループが共同開発した「防災住宅」が防災グッズ大賞住宅部門で大賞を受賞しました。

家自体が受賞するのは初めてということです。

「南海トラフ巨大地震が50年以内に90%以上という高い確率で予測される中、津波シェルターの付いた住宅は画期的であり、日常生活で有益かつ災害への備えとして極めて有意義なもの」と評価されました。

最大風速60m/sを超えるようなスーパー台風では、木造家屋は倒壊する恐れもあります。

豪雨による浸水被害、さらに南海トラフ巨大地震、首都直下地震などの巨大地震・津波と、災害大国「日本」は、今後、災害がより身近になり、誰もが被災者になりうる時代を迎えます。

そんな未来が来たとしても、愛する家族や大切な人を我が家で失わないよう、「命を守れる家」に住むことが必須です。

これまでの災害で被災され、調査に協力してくださった方々からの教訓を生かしたこの「防災住宅」が、今後、多くの人に広まることを願っています。

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