NATSUMI OKUMURA

奥村奈津美

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広島土砂災害 ④ 発災1年レポート

By Published On: 2015年8月20日Categories: Column, NHKジャーナル0 min read

2015年8月20日

広島土砂災害から1年。

去年、8月20日の未明。
2時間で200ミリを超える集中豪雨により、166か所で、土石流やがけ崩れが発生し、
土砂災害としては、平成に入ってから最悪の75人が犠牲になりました。

1万人以上の方が被災され、
現在も、1800人ほどの方が、これまで住んでいた家を離れて暮らしています。(広島市調べ)

番組でもお伝えしましたが、
NHKが被災者に行ったアンケートで「もともと住んでいた場所に戻りたいか」と聞いたところ、

戻りたいが27%

戻りたいが戻れないが29%

戻りたくないが26%

戻らざるをえないが18%でした。

 

「戻りたいが戻れない」

その一人、1年前、避難所で出会った方に再びお話を聞きました。

広島市安佐南区のBさん。両親と妻、そして、3人の子どもの7人家族。
結婚を機に建て替えた二世帯住宅に暮らしていました。
ご自宅は山のすぐそばにあり、土砂が流れ込みましたが、半壊状態で残りました。
家族全員で暮らせる家を探しましたが、希望に合う物件は近くになく、
Bさんたち5人と両親は、別々の借り上げ住宅に暮らしています。

家を修理すれば、元の家に戻れますが、
「安全」と「コミュニティ」の問題で悩んでいるとおっしゃっていました。

まず「安全」の問題。

Bさんの地域では、砂防ダムの建設が予定されていますが、すぐには完成しません。
安全が確保されていない中、戻ることに不安があるといいます。

そして「コミュニティ」の問題。

Bさんの家の周辺は3人が亡くなり、上流の住宅は、砂防堰堤を作るため、立ち退きが決まりました。
近隣のコミュニティが崩れてしまった状態のまま戻ることにも不安を抱えています。

「長年暮らしてきた家に帰りたい」という両親の気持ちや経済的な理由から
家の修理を始めましたが、なかなか決断できないと話されていました。

一方で、暮らしていた地域に戻ることができた方にもお話を伺うことができました。

県営住宅にご夫婦で暮らしていたCさん。
被災後、地域から少し離れた公営住宅に暮らしていましたが、やはり元の地域に戻りたいということで、
今月上旬、被災前と同じ県営住宅に戻ることができるようになったそうです。
たまにお電話をさせて頂いていたのですが、
今後どうなるか分からないと、常に不安を抱えていらっしゃったので
「1年は長かったけれど、帰れて良かった」と、明るい声が聞けて、ほっとしました。

被災地では、今、砂防ダムなど、安全を確保するための復旧、復興計画が進んでいますが、
完成までは時間がかかります。

戻りたい方、戻りたくない方、そして、迷っている方も前に進めるような
一日も早い復興と生活の再建が求められていると感じました。

広島土砂災害から一年、あなたはどんなことを思いましたか?

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